PCB廃棄物の適正処理
電気機器(トランス、コンデンサ、蛍光灯安定器等)の取替えや建物の解体等に伴って不要となった電気機器で、ポリ塩化ビフェニル(以下「PCB」といいます。)が含まれているものについては、PCB廃棄物として、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」といいます。)」及び「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(以下「PCB特別措置法」といいます。)」に基づき、事業者(事業を廃止した個人等を含む。)において適切に保管のうえ、処分することが義務付けられています。
処分には期限が定められており、期限までに必ず処分しなければなりません。
また、使用中の電気機器に高濃度PCBが含まれている場合は、処分期限までに使用を終了し、かつ、処分しなければなりません。使用中の電気機器であっても、高濃度PCB廃棄物の処分期限が過ぎているため、PCB特別措置法により全て廃棄物とみなされます。
詳しい処分期限は、ポリ塩化ビフェニル(PCB)早期処理情報サイト(環境省)をご覧ください。
また、処分するまでのPCB廃棄物の保管状況等については、京都市に報告しなければなりません。
説明の目次
PCBとは
PCBは、電気絶縁性が高く、化学的に安定で不燃性であること等から、変圧器(トランス)や蓄電器(コンデンサ)といった電気機器の絶縁油等に使用されていましたが、昭和43年(1968年)に発生したカネミ油症事件でその毒性が社会問題化したため、昭和47年(1972年)にPCBの製造が中止され、さらに昭和49年(1974年)までに輸入や新規使用も禁止されました。
その後、PCB廃棄物は事業者によって保管されてきましたが、処理施設の未整備による長期の保管を余儀なくされたため、紛失や漏洩による環境汚染が懸念されるようになりました。
そこで、平成13年(2001年)7月にPCB特別措置法が施行され、PCB廃棄物の確実かつ適正な処分が推進されることになりました。
- ポリ塩化ビフェニル廃棄物に関する法令(環境省)
PCB廃棄物とは
PCB廃棄物とは、PCB特別措置法により、「PCB、PCBを含む油又はPCBが塗布され、染み込み、付着し、若しくは封入された物が廃棄物となったもの」と定められています。具体的には以下のようなものが存在します。
機器等に使用された廃PCB油 | PCBを含む絶縁油、熱媒体 など |
---|---|
PCB汚染物 | 不用のPCB使用トランス、コンデンサ、リアクトル など 蛍光灯安定器、水銀灯安定器 など PCBが塗布された感圧複写紙 PCBが付着した紙、木、布、容器(廃プラスチック、金属くず、陶磁器くず) など PCBに汚染された汚泥 など |
PCB処理物 | 廃PCBを処理したもので廃油(濃度が0.5mg/kgを超えるもの)、 廃酸・廃アルカリ(濃度が0.03mg/Lを超えるもの) など |
PCB廃棄物は、「高濃度PCB廃棄物」と「低濃度PCB廃棄物」の2つに大別されます。
高濃度PCB廃棄物
PCBの使用が禁止される以前、製造段階で意図的にPCBが使用されたものなどで、PCB特別措置法2条2項に該当する廃棄物を 高濃度PCB廃棄物 と呼んでいます。代表的な電気機器としては、トランス、コンデンサ及び蛍光灯安定器等があります。高濃度PCB廃棄物に該当するかどうかについては、当該電気製品の製造年月日や型式等で判定することができます。
低濃度PCB廃棄物
昭和47年(1972年)以降に製造され、PCBを使用していないとされる電気機器等の中には、微量のPCBを含むものが存在することが、平成14年(2002年)に判明しました。
これらは、意図的に使用したものではなく、非意図的に微量に混入したものであり、便宜的に「微量PCB汚染廃電気機器等」と呼んでおり、この微量PCB汚染廃電気機器等と、PCB濃度が5,000mg/kg以下の不燃性のPCB含有廃棄物、PCB濃度が100,000mg/kg以下の可燃性のPCB含有廃棄物とを合わせて 低濃度PCB廃棄物 と総称しています。
高濃度PCB廃棄物 | 低濃度PCB廃棄物 | |
---|---|---|
PCB濃度 | 5,000mg/kg超 | 0.5mg/kg超~5,000mg/kg(可燃性のPCB汚染物等については100,000mg/kg以下) |
判別方法 | 製造メーカー、型式・型番、製造番号等により判別 | 製造メーカー、型式・型番、製造番号等で確認できない場合は、分析により判別 |
処理施設 | JESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社) | 無害化処理認定施設 |
処理期限 | 令和3年(2021年)3月31日 | 令和9年(2027年)3月31日 |
PCB廃棄物の判別方法
事業場(現在使用していない事業場や施設を含む。)に設置されている受電設備(キュービクル)や蛍光灯器具の取替え、建物解体時に出てきた電気機器については、製造メーカー、型式・型番、製造年月を確認し、PCB含有の有無及びその区分を適切に判別してください。
判別の結果、PCBを含有していないものについては、通常の産業廃棄物としての処理が可能です。
含有していることが判明したものについては、廃棄物処理法、PCB特別措置法等に基づいた適正な保管及び処分が必要です。
なお、受電設備や電気室等は感電のおそれがあるため、必ず電気主任技術者等にご相談ください。
PCB含有の判別方法
- トランス、コンデンサ等の高濃度PCB含有の判別方法は、一般社団法人日本電機工業会のホームページを参考にしてください。
- 低濃度PCB含有の判別については、製造業者にお問合せいただくか、PCB分析可能事業者にお問い合わせください。
- 安定器のPCB含有の判別方法は、PCB使用安定器の点検要領や一般社団法人日本照明工業会のホームページを参考にしてください。
- なお、高濃度PCBを含有している可能性のある機器については、機器本体や銘板の写真をお送りいただければ、判別の参考となる情報をお伝えできる場合がありますので、当課までご相談ください(送信先:hic●city.kyoto.lg.jp(●を@に置き換えて送信してください。))。
ただし、含有証明や分析等については、製造メーカーや分析機関等にお問い合わせください。
PCB廃棄物の保管
PCB廃棄物の保管に当たっては、廃棄物処理法の特別管理産業廃棄物保管基準に従わなければなりません。
同基準には、飛散、流出、地下浸透、悪臭の防止などが定められており、基準に適合していない場合、京都市長はPCB廃棄物を保管する事業者等に対し、期限を定めて必要な措置を講ずべきことを命ずることがあります(改善命令)。
改善命令に違反した者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処され、又はこれを併科されることがあります。
PCB廃棄物の保管について
PCB廃棄物の保管事業者の責任
PCB廃棄物を保管する事業者等には、上記の特別管理産業廃棄物保管基準のほか、PCB特別措置法により、以下の義務が課せられています。
期間内の処分(PCB特別措置法第10条・第14条)
事業者等は、PCB廃棄物のうち高濃度PCB廃棄物については、令和3年(2021年)3月31日までに処分することが義務付けられています。
それ以外のPCB廃棄物については、令和9年(2027年)3月31日までに処分することが義務付けられています。
京都市長は、事業者等が上記期間内の処分義務に違反した場合は、その事業者等に対し、期限を定めて、PCB廃棄物の処分など必要な措置を講ずべきことを命ずることがあります(改善命令)。
改善命令に違反した者は、3年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金に処され、又はこれを併科されることがあります。
譲渡し及び譲受けの制限(同法第17条)
PCB廃棄物については、原則譲渡し及び譲受けが禁止されています。
建物等を売却される場合でも、PCB廃棄物については新たな建物所有者に売却や譲渡することはできません。
違反した者は、3年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金に処され、又はこれを併科されることがあります。
保管等の届出(同法第8条)
京都市内でPCB廃棄物を保管している事業者等は、その前年度のPCB廃棄物の保管及び処分の状況等について、毎年度4月1日から6月30日までに京都市長に届け出なければなりません。
届出を行わなかった者 又は 虚偽の届出をした者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されることがあります。
承継の届出(同法第16条)
事業者等について相続、合併又は分割があったときは、それらの事実があった日から30日以内に届出が必要です。
届出を行わなかった者 又は 虚偽の届出をした者は、30万円以下の罰金に処されることがあります。
特別管理産業廃棄物管理責任者の設置(廃棄物処理法第12条の2第8項)
PCB廃棄物は特別管理産業廃棄物に分類され、PCB廃棄物の処理に関する業務を適正に行わせるために、事業所ごとに特別管理産業廃棄物管理責任者を置かなければなりません。
この義務に違反した者は、30万円以下の罰金に処されることがあります。
保管事業場の変更(移動)届出(PCB特別措置法施行規則第10条)
PCB廃棄物の保管の場所を変更(移動)した時は、変更があった日から10日以内に届出が必要です。
なお、京都市では、PCB廃棄物を変更(移動)する際にも、事前に保管場所変更計画書の提出をお願いしています。
PCB廃棄物の処分
PCB廃棄物は、高濃度PCB廃棄物又は低濃度PCB廃棄物のいずれであるかにより、処分施設(処分委託先)が異なります。それぞれ適切な方法で処分してください。
高濃度PCB廃棄物
京都市内で保管している高濃度PCB廃棄物については、令和3年(2021年)3月31日まで(特例に当たる場合は令和4年3月31日まで)に、唯一の処分業者である中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)に処分を委託しなければならないこととされていました。
高濃度PCB廃棄物が期限内に処分されずに放置されていた場合、PCB特別措置法等に基づく行政処分(改善命令等)や、罰則、行政代執行の対象となります。万一、期限後に高濃度PCB廃棄物が見つかった場合は、至急、廃棄物指導課に連絡してください。
低濃度PCB廃棄物
低濃度PCB廃棄物については、令和9年(2027年)3月31日までに、環境大臣による無害化処理認定を受けた事業者等に処分を委託する必要があります。
- 低濃度PCB廃棄物の確認方法、処分方法などについては、低濃度PCB廃棄物早期処理情報サイトをご参照ください。
- 無害化処理認定施設については、環境省ホームページをご参照ください。
PCB廃棄物の保管及び処分の状況の公表
PCB廃棄物の保管及び処分の状況は、PCB特措法第9条及び第15条の規定により公表することとされています。
京都市では、届出書及び添付書類を廃棄物指導課で縦覧しているほか、京都市オープンデータポータルサイトにおいて京都市内のPCB廃棄物等の保管及び処分状況等の情報を公開しています。